1980年代以降、日本の多くの企業が事務の効率化を目的に、システム化を積極的に進めてきた。その結果、目的通り、業務時間や人件費の削減といった省力化の面で一定の成果を収めてきた。こういったシステム化は、目的が明確なうえに、評価指標も比較的設定しやすいため、特に高いマネジメント力がなくても、一定の効果を得やすかった。

 その後、システム化の目的がマネジメントの支援や新たなビジネスモデルの導入といったITによるイノベーションに移ってきている。そうなると省力化の時とは状況は一変し、難しさが出てくる。というのも「組織としてどこにどのようなITシステムが必要か」「システムの開発と運用が企業の戦略にどう貢献するのか」といったことが、必ずしも明らかではないからだ。