10代の若者がレポート作成時にWikipediaの文面をそのまま鵜呑みにして引用したり、Twitterに流れるデマをそのまま受けて止めて周囲に拡散してしまったりする例は、枚挙にいとまがない。ネット上の書き込みを信じ、難を逃れるために友だちに不幸のメールを送ったり、夜中におまじないをして寝不足になる子もいる。

 なぜ子どもたちはこのような行動をするのか。周囲の大人はそのような子どもたちに対してどのようなことを教えるべきだろうか。

興味関心が「友だち」で止まっている

 小学生の子どもへの教育は、実感できる身の回りから教え始めるようになっている。例えば社会科は、一番小さく身近な社会的単位である「家族」から始まって、「市町村」「都道府県」「日本」「世界」と徐々に規模を広げていく。子どもの興味関心対象は、子ども自身から家族や友だち、社会、世界へと広がっていくもので、それに合わせているのだ。

写真1●子どもたちには、興味関心の範囲が「友だち」で止まっているケースが見受けられる(写真はイメージ)

 ところが最近の10代の子どもたちでは、興味関心の範囲が「友だち」で止まっているケースが見受けられる(写真1)。例えば 政治経済や社会的ニュースには興味がないが、クラス内のゴシップには興味津々だったりする。

 総務省情報通信政策研究所の「平成25年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」からはメディアが流す情報を信用する傾向が見えた。10代でそれぞれのメディアを「全部信頼できる」「大部分信頼できる」と回答した人の和は、「インターネット」が38.1%、「テレビ」が73.4%と、どちらも他の年代よりも高かった。まだ発展途上という理由があるかもしれないが、10代は他の年代に比べてネットやテレビを信じる傾向にある(図1)。

図1●メディアの信頼度 (各メディアを「全部信頼できる」大部分信頼できる」と回答した者の合計)出典:平成25年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査
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