「インターネットがソフトウエア開発を根底から変えた。そして今、ハードウエアも同じような変革を迎える」。こんな刺激的なキャッチコピーにひかれ、5月中旬、米国・サンフランシスコに向かった。「Web2.0」など、時代を象徴するキーワードを生み出してきたメディア企業、オライリーメディアが主催するイベント「Solid2014」に参加するためである(写真1)。
時代は「新たな固体」へ
事前にイベントを調べれば調べるほど、興味は増す。Solid2014の企画が動き始めたきっかけは、数年前のあるイベントにおいて、3次元CGで作られたネット上の仮想世界「Second Life」の中で電源スイッチを操作し、イベント会場の「リアル」な照明をオン・オフした実演だったことだという。ネットの世界とリアルの世界がつながったことで、新たな着眼が得られたわけだ。
イベントを象徴するキーワードとして語られている、「ソフトとハードの“衝突”による新たな付加価値の創造」「3Dプリンター、Arduino/Raspberry Piといった開発ボード、クラウドファンディングなどによる、ものづくりの新潮流」「リアルな世界に向けたAPI(Application Programming Interface)」は、いずれも新しい産業や新製品を生み出す源泉として興味深い。さらに、進行役を務めるMITメディアラボの伊藤穣一所長(写真2)のほか、グーグルやゼネラル・エレクトリック(GE)、フォードなどからの豪華で多彩な講演者陣が何を話すのか、楽しみは尽きない。