分析力を武器に、ネット分野でさまざまなサービスを展開するリクルート。その中核となるデータサイエンティストの採用、育成に積極的に取り組み、博士号を持つ「超高学歴」人材も登用している。リクルートコミュニケーションズ(東京・中央)の分析官2人の仕事ぶりに、『ビッグデータの衝撃』の著者で、データ分析に詳しい野村総合研究所の城田真琴上級研究員が迫った。

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城田 お2人は前職の理化学研究所脳科学総合センターでもご一緒だったのですね。

 なぜデータサイエンティストというキャリアを選んだのですか。

尾崎隆氏●データサイエンティスト。ICTソリューション局アドテクノロジーサービス開発部テクノロジーサービス開発1グループに所属(並川氏も同じ)。 東京大学工学部計数工学科卒業、東京大学大学院新領域創成科学研究科で博士課程を修了後、2006年から2011年まで理化学研究所脳科学総合研究センターの研究員を務める。2012年6月にサイバーエージェント入社。2013年7月より現職
(写真撮影:村田 和聡)

尾崎 東大などの講師を経て、民間に移ろうと思ったのが2012年。マイクロソフトやグーグルなどが統計学の重要性に気付き始めていた時期で、分析人材の需要が高まっていました。

並川 僕は研究をしている間は「公的な機関で研究するなら“役に立たないこと”をやろう」と思っていました。大体やりきったのでそろそろ人の役に立ちたいなあと。尾崎さんと同じ時期に就職活動をしましたが、機械学習が分かる人材の募集はとても多かったですね。

城田 民間で就職するポスドクは増えていますか?

尾崎 情報系は増えていると思いますが、僕がいた医療系ではまだまだ少数派。実は僕自身も、就職活動を始める前は「こんな人間、採りたいところがあるのか」と思っていました。MRIなど医療機器を扱えることくらいしか取り柄がないと。

 実際には受け皿はあったわけですが、最初から民間に移るのは諦めている人も多いと思います。