最終回は「AARRR」のうち、3つのRに関する事例を紹介しましょう。実はこの3つのRがうまくいくと、指数関数的に製品・サービスは成長します。グロースハックの醍醐味ともいえるところですから、是非通読してほしいと思います。

「Retention」の事例(1)
FANCY、会員ごとにメルマガの内容を変える

図1●米国発の高級ECサイト「FANCY(ファンシー)」は日本でもサービスを展開
図1●米国発の高級ECサイト「FANCY(ファンシー)」は日本でもサービスを展開
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 米国発の高級ECサイト「FANCY(ファンシー)」をご存知でしょうか。ちょっと素敵なモノを検索、購入できるFANCYから定期的に送られてくるメールマガジンは、サービスを再び利用したいと思わせる魅力的な仕組みです。

 通常メルマガというと“紋切り型”で、ユーザー全員に同じものを一斉送信することが多いと思います。ところがFANCYは違います。

 メルマガの内容をユーザーごとに変え、「Wonderful things picked just for you(素敵なモノをアタナのためだけに選びました)」という見出しでメールが送られてきます。詳細については不明ですが、FANCYはユーザーごとのウェブの閲覧履歴や購買履歴などのデータを分析し、ユーザーごとに最適な商品を選別していることは想像に難くありません。

 さらにこのメルマガでは、そのままの内容をHTMLページとしてFacebook(フェイスブック)やTwitter(ツイッター)などのSNSともシェアできる仕組みです。世界的に普及しているSNSとの連携機能で、口コミを通じて新たなユーザーも獲得できるという一石二鳥の作戦なのです。

 ユーザー個別のサービスをカスタマイズする。他のSNSとの連携機能。これらが、ユーザーが繰り返しサービスを使うようにする「Retention」のコツの1つといえそうです。