グロースハッカーとしての心構えは理解いただけたことと思います。あとは行動あるのみです。今回から、グロースハックするための実践ノウハウについて紹介します。まずは「PMF」と「AARRR」と呼ぶフレームワークの活用方法を習得しましょう。

 まずはPMF。 グロースハックすることに決めたら、どこから手をつけるか。そこで有効なのが「PMF」です。「Product Market Fit(プロダクト・マーケット・フィット)」の頭文字を取った言葉です。

 PMFは、グロースハッカーが最初に活用するフレームワークです。PMFとは、「自社の製品・サービスが市場に受け入れられている」状態のことを指します。

グロースハックする意味のある製品・サービスかを見極める

 グロースハックの対象である製品・サービスが、顧客ニーズにフィットしているかどうか。グロースハッカーはまず、ここを確認しましょう。なぜか。その理由は明快です。そもそも顧客ニーズのないものをグロースハックしても、ほとんど成果を出せなかったり、そもそも意味がなかったりするからです。

 例えばこんな具合です。

 私の日課はスポーツジムに通って、身体を動かすことです。私はいつも、短時間にできるだけ多くの種目をこなしたいと思っていて、混雑する時間帯を避けてジムに通っています。

 そこで、こんなことを思いついたとしましょう。自分と同じような考えを持っている人が快適に通えるようにするために、ジムの混雑状況が分かるスマホアプリを作る。それを製品・サービス化してグロースハックしよう、と。

 ここでPMFの出番です。いったん立ち止まりましょう。そもそも混雑状況に応じて、ジムに行くか行かないかを決める利用者はどれくらいいるのでしょうか?ジムに通っている人たちを観察してみると、私のように短時間に集中してワークアウトしようとしている利用者はさほど多くないような気がします。

 この時点で私の企画したスマホアプリは「PMFしているかどうか」について疑問がわいてきます。どうもジムの混雑状況を示すスマホアプリは、グロースハックする以前にマーケットニーズが高くないのではないか、とも考えられます。よって、より多くのニーズを満たすようなスマホアプリとして改良するか、製品化を取りやめるかのどちらかを決めるのが得策でしょう。

写真1●グロースハックの前に顧客ニーズがあるのかどうかを見極めよう。写真はイメージ
写真1●グロースハックの前に顧客ニーズがあるのかどうかを見極めよう。写真はイメージ
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 このように製品・サービスに対する顧客ニーズの有無について疑問がある場合、グロースハックする前にまずPMFするかどうかを確認する必要があります。

 ではどのように実践すればいいのか。オススメの手法を2つ紹介しましょう。