グロースハックと呼ばれる仕事の歴史は浅く、企業の中でも「グロースハッカー」という明確なポジションについて働いているビジネスパーソンは少ないことでしょう。まだ認知度も高くないことから、組織内でも情報交換がしにくく、グロースハッカーははっきり言って「かなり孤独な仕事」というのが現状です。

 だからこそ、グロースハックを効率的に進めるためのフレームワークやツール、手法などについて学ぶ前にやるべきことがあります。孤独に打ち勝ち、変革をリードするグロースハッカーになるには、それなりの覚悟が必要でしょう。

 あわてて仕事の実践ノウハウを学ぶ前に、グロースハッカーとしての心構えを押さえておくことが肝要です。早速、3つの心構えについてみてみましょう。

心構え(1)グロースハッカーは「マキャベリスト」であれ

写真1●イタリア・フィレンツェの「ウフィツィ美術館」にあるマキャベリの像
写真1●イタリア・フィレンツェの「ウフィツィ美術館」にあるマキャベリの像
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 目的のためなら手段を選ぶべきではない――。このフレーズをどこかで聞いたことがあるかもしれません。これはイタリアのルネサンス期の政治思想家マキャベリが書いた『君主論』に由来するフレーズです。

 君主論では、「国家が危機に陥った場合、政治家は(国家存続の)目的のために有効ならば、手段を選ぶべきではない」という言葉があります。これについて様々な解釈がなされ、“目的達成至上主義”的な考え方を持つ人のことを「マキャベリスト」(ちなみにマキャベリストは和製英語らしく、英語ではマキャベリアン、というそうです)と呼びます。

 実は、これがグロースハッカーの心構えとして最も大切なことです。グロースハッカーは「マキャベリストになれ!目的のためには手段を選ぶべきではない」ということを肝に銘じてほしいのです。

 「成長がすべてを癒す」と前回に紹介しました。組織や製品にとって成長を実感するということがグロースハックに関わる全ての人々のエネルギーになります。エネルギーの源泉となる「成長」に責任を負い、成長請負人として業務を遂行するグロースハッカーにとって、「成長」以外は何も意味を持ちません。