総務省は2020年代に向けた規制改革の議論において、消費者保護ルールの見直しや拡充を検討している。サービスの複雑化や多様化に伴い、消費者からの苦情や相談が高止まりの傾向にあるからだ。携帯電話サービスにクーリングオフ制度を導入すべきとの要望が出ており、事業者や代理店の間に激震が走っている。

 消費者保護ルールの見直しについては、総務省の「ICTサービス安心・安全研究会」で検討している。電気通信サービスの契約にまつわるトラブルは依然として多く、PIO-NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)に登録された2013年度の全苦情・相談件数72万9298件のうち、電気通信サービス関連は4.8%の3万5257件。総務省によると、近年は高止まりの状態が続いているという。

 同研究会が2014年4月に開いた公開ヒアリングでは、全国消費生活相談員協会から様々な事例が紹介された(表1)。通信速度や提供エリア、サービスなどに関する広告が複雑で分かりにくく、内容をよく理解しないまま契約してしまう例が多い。後で不要と分かって契約をキャンセルしようとすると、解約料や違約金を請求されてトラブルになる。

表1●通信サービスの契約を巡るトラブルの例(全国消費生活相談員協会の説明資料から一部を抜き出し、内容を編集して記載)
表1●通信サービスの契約を巡るトラブルの例(全国消費生活相談員協会の説明資料から一部を抜き出し、内容を編集して記載)
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