2016年1月にスタートする行政手続番号法(マイナンバー制度)で、自治体に申請すれば交付されるICチップ内蔵のカード。住民基本台帳ネットワークシステムの住基カードに代わり、本人確認や番号確認で使われる。カードには個人番号や顔写真が記載されて身分証として使えるが、ICチップにはプライバシー性の高い個人情報は記録されない。

 市町村の機関は条例で定められれば、個人番号カードを地域住民の利便性の向上に利用可能だ。例えば、図書館の貸し出しカードとしても利用できる。

 IT総合戦略本部の新戦略推進専門調査会「マイナンバー等分科会」で2014年5月に公表された「中間とりまとめ案」では、国内に住民票があれば誰でも使える本人確認や公的個人認証の手段として、個人番号カードの普及や活用を目指すという。健康保険証や印鑑登録カードのほか、国家資格の資格証明書や、国家公務員の身分証明書などの個人番号カードへの一元化も検討するという。

 総務大臣が認めれば民間事業者も、公的個人認証の署名検証者になれる。コンビニでの書面交付のほか、キャッシュカードやクレジットカードなどの民間発行のカードについても、個人番号カードとの一体化や連携などを柔軟に検討を進めるとしている。

 ただ、個人情報が悪用されたり一元的に管理されたりするのではないかという懸念に対して、目的外利用を禁じた制度上の保護措置や、個人情報を分散管理しているといったシステム上の安全措置の周知が欠かせない。身分証として使える個人番号カードであっても、番号部分を書き写したりコピーしてはいけないといった基本的な取り扱い方法の広報も必要だろう。