平成26年度政府ICT関連予算は、総額約1兆円となった。ただし、平成26年2月6日に成立した平成25年度補正予算のICT関連が3千億円強もあるので、実質的には昨年より大幅増となり、ICT業界には朗報といえる。

 内訳を見ると、厚生労働省だけで4分の1を占め、防衛省、総務省と合わせた3省で過半を超える。ハローワークや年金などの超巨大システムを抱える厚労省などは「システム主体セグメント」であり、大手企業の“米びつ”となっている。

 一方、総務省や経済産業省などの「戦略セグメント」は新たな戦略展開のための予算が中心でICT業界の未来を見る目となっている。

予算成立の経緯

 通常の政府予算と同様にICT関連予算も、図1のように概算要求、調整、国会審議のフェーズを経るが、昨年度は5月に歴史上初めて日本の政府CIOが成立し、マイナンバー法とともに政府の体制が整ったことが特徴となる。

図1.平成26年度ICT関連予算の成立経緯
図1.平成26年度ICT関連予算の成立経緯
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 また、6月には安倍内閣の新たなICT戦略として「世界最先端IT国家創造宣言」(以下、創造宣言)が発表され、続いて政府CIOの予算方針として「情報通信技術(IT)関係施策に関する平成26年度戦略的予算重点方針」が発表されて、各府省庁はこれらに従って概算要求をまとめた。

 概算要求は、通常の予算に関しては財務省が調整して政府案としての閣議決定に至るが、ICT関連予算に関しては政府CIOが調整に動いた。これは民間の大企業では既に常識となったCIOの職務だが政府としては初めての出来事であった。

 その後、平成26年4月の消費税増税に向けた平成25年度補正予算が編成されたが、成立が2月なので実質的には平成26年度予算の一部となる。平成26年3月20日に平成26年度予算が成立したが、年度内に予算が成立したのは実に3年ぶりであった。