ビジネスと慈善事業、そして詐欺の違い
榊田「ビジネス理論の世界でドラッカーと同じくらい有名な人物といえば、フィリップ・コトラーもその1人でしょうね」
所長「ふむ、キミの言うとおりかもしれんな。そういうと、日本経済新聞の名物コラム「私の履歴書」の2013年12月はコトラーでしたね。そのコラムの中でコトラーは、ドラッカーと親しく交流し、また、ドラッカーから強い感化を受けたと述べていました」
榊田「あらま、お2人はお知り合いなんですか」
所長「厳密には、お知り合いだった、ですね。ドラッカーは故人ですから」
榊田「あっ、そうか」
所長「ドラッカーは顧客創造の機能はマーケティングとイノベーションだと述べました(第1回の「『おたくの会社のミッションって何?』に答えられますか」を参照)。ですから、組織を適切にマネジメントするには、マーケティングの知識が欠かせません」
榊田「そこでコトラーのマーケティング論が登場、ってなわけですね」
所長「そのとおり」
それではコトラーのマーケティング論について解説を試みよう。まずはコトラーによるマーケティングの定義からだ。実はこの点については、本特集の第1回でも触れている。
マーケティングとは、
「ニーズに応えて利益を上げること」
であった。コトラーによるたった15文字のこの定義はマーケティングの本質を射抜いたものだ。「マーケティングとは何か?」と問われたら、この15文字が自然に口に上るようにしたい。
さらに、このマーケティングの定義と同時に次のフレーズも覚えておくとよい。
「ニーズに応えて利益を上げないのは慈善事業である」
「ニーズに応えずに利益を上げるのは詐欺である」