本題に入る前に、最近耳にしたニュースに少し触れたい。米国eBayから流出した1億4500万件にも及ぶ流出データ(ID、暗号化されたパスワード、メールアドレス、住所、電話番号など)が売りに出されたという(図1、関連記事)。
筆者はこのデータが本物かどうかは確認していないが、興味深いのはその支払い方法がビットコイン(金額は1.453BTC=1BTC450米ドルとして、日本円で7万円弱)だったことだ。その後、ビットコインの交換レートが値上がりして取引量も増えているという情報が流れたが、支払いに指定されていた財布(ウォレット)には執筆時点で取引の痕跡が全く無かった(図2)。
この事象から推測されるのは、直後に流れたビットコインの取引に関わる情報が信憑性の低いものだったということ。つまり何者かがeBayから流出した個人情報をえさに、ビットコインを窃取する詐欺を企てた可能性が高い。しかしこの企ては全くビジネスにならなかったようだ。
日本ではMt.Gox社の破綻後、投資家たちがビットコインに対する興味を失ったように見えるが、事件後の取引価格は安定している(図3)。犯罪への悪用を含め、しばらくは目が離せない。