スマートヘルスケアは、まさにヘルスケア版のIoTである。具体的には、人から健康に関するデータを取得するための医療機器やセンサー(ハードウエア)と、データを処理して医療や介護などの活動に役立てるためのシステムやサービス(ソフトウエア)を融合させる取り組みである。

 医療機器やセンサーなどの場合、ハード単体での価値向上に限界があるため、医療や介護のソリューションに近いソフトとの連携で価値を高めたい。逆にシステムやサービスのようなソフトの場合、優れた価値を提供するにはデータが不可欠で、ハードとリアルタイムでつながっていることが重要になる。

 特に注目されているのは、スマートフォンやタブレット端末といった通信機能を備える携帯機器と組み合わせることで、既存の医療行為を支援するようなソフトだ。具体的には、人体の健康データを計測・収集するスマートフォンアプリなどが相当する。

 日本にはこうした医療向けのソフトを規制する法律はなく、いわゆる「グレーゾーン」であるため、企業としては参入しにくい側面があった。しかし、2014年末に施行予定の改正薬事法(医薬品・医療機器等法)では、医療用ソフト自体を医療機器として管理する可能性が出ている。きちんと対応できれば、スマートフォンアプリなどの医療用ソフトとして単体で市場に流通させられるようになる。調査会社のシード・プランニングによれば、2020年の診断支援ソフトの市場規模は175億円と、2013年の約15倍に拡大するという。

多くの医療機器やセンサーがインターネットに接続するようになる
多くの医療機器やセンサーがインターネットに接続するようになる