大容量二次電池を搭載しているプラグインハイブリッド車(PHV)や電気自動車(EV)は、緊急時の住宅用電源としても期待されている。普段はHEMS(住宅用エネルギー管理システム)でエネルギー利用状況を監視し、災害発生時などにPHVやEVの二次電池から電力を融通するのだ。住宅のエネルギー源の幅を広げられるため、住宅とクルマ、さらに地域とクルマを組み合わせる実証実験が全世界で実施されている。

 愛知県豊田市の「低炭素化社会システムを目指す実証プロジェクト」では、70戸の住宅をトヨタホームが建築し、全戸にトヨタ自動車の「プリウス PHV」を5年にわたり無償貸与している。主な目的は交通の最適化に関する実証実験だが、緊急時はプリウス PHVの二次電池が住宅用電源として機能する。

 これまでは実証実験がほとんどだったが、2011年3月の東日本大震災以降は、実際にPHVやEVを緊急時の電源として用いる住宅が増えている。

愛知県豊田市のスマートタウンに関する実証プロジェクトでは、全戸に「プリウス PHV」を無償貸与している
愛知県豊田市のスマートタウンに関する実証プロジェクトでは、全戸に「プリウス PHV」を無償貸与している
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■参考文献
高槻ほか,「『低燃費建築』元年」,『日経アーキテクチュア』、2013年1月10日号,pp.22-41.
高槻ほか,「減災住宅」,同上,2014年3月25日号,pp.32-49.