今回は「会社の老化」の原因の一つめの「組織の不可逆性」について、具体例とともに詳しく解説していきます。
前回述べたように、会社の老化とは成長の後に必ずやってくる負の影響を持つ不可逆的事象のことでした。これは、私たちの身の回りにある物理的、心理的な不可逆性に起因しています。
物理的な不可逆性とは、
- 数が増える
- 平均化する
- 複雑化する
といったことで、心理的な不可逆性とは、
- 一度できたものはなくせない
- 慣れたもの、知っているものへ流れていく
- 楽な方向に流れていく
といったことです。
分かりやすい会社における不可逆変化を見て行きましょう。
一つめは、規則やルールの増殖です。新しい会社や組織には良くも悪くも決まり事がありませんが、組織の構成員が増えるにしたがって一定のルールが必要になり、徐々に「整備」されていきます。初めのうちは効果の方が大きく、ポジティブに働くことが多い「ルール化」ですが、徐々に形式化、業務の煩雑化といった形での負の影響も出てきます。
ところがたとえ負の影響が大きいと分かっていても、これを減らすのは容易なことではありません。「もし減らして『何かあったら』どうするんだ?」という議論になったときに誰もが「自分の責任にしたくない」という人間の心理が働くからです。