特許庁 総務部 企画調査課 河合弘明氏は2014年5月12日、東京都内で開催された「3Dプリンティング・シンポジウム ―― 世界を変える“ものづくり革新”の実像に迫る」で「3Dプリンティング技術の特許出願動向」と題して講演した。具体的には、特許出願動向について全体傾向から、付加製造方式別や主材料別、用途別、産業別の傾向、さらに出願件数上位の企業について解説した。

登壇した特許庁 総務部 企画調査課 河合弘明氏
登壇した特許庁 総務部 企画調査課 河合弘明氏
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 2001~2011年の4318件の特許出願が分析の対象。出願人国籍別の特許出願件数の比率では、欧州が1710件で全体の39.6%、続いて米国が1242件で28.8%と、欧米で全体の68.4%を占める。日本は第3位の969件で、その後、中国(133件)、韓国(72件)と続く。

 付加製造方式別では、「粉末床溶融結合」に関する出願件数が世界的に多い。特に欧州が741件と力を入れており、米国(197件)や日本(295件)を大きく引き離している。米国は「材料押出」に関する出願件数が200件と最も多かった。日本は粉末床溶融結合が最も多く、続いて「液槽光重合」に関する出願件数が286件と多いのが特徴である。

 主材料別では、日米欧とも「光硬化性樹脂」に関する出願件数が最も多く、欧州が324件、米国が220件、日本が376件である。続いて、欧米は「熱可塑性樹脂」「金属」の順で出願件数が多いが、日本は金属の出願件数が105件と多く、熱可塑性樹脂は46件と少ない。

3Dプリンターの特許出願件数は欧米強し

 用途別では、日米欧とも「実部品製造」に関する出願件数が最も多く、欧州が254件、米国が229件、日本が86件である。日本は「成形型鋳造」が83件で続き、「試作品製造」は14件と少ないという。

 産業別では、「医療・ヘルスケア」に関する出願件数が最も多く、欧州が186件、米国が125件、日本が48件である。続いて「製造業」で、欧州が121件、米国が89件、日本が55件を出願している。

 出願件数上位の企業は、首位が米3D Systems社、2位がドイツEOS社、3位が米Stratasys社である。日本企業では4位にパナソニック、10位にJSRが入った。