本連載では、ビジネス文章力を向上させたい方のために、筆者がこれまで実務の現場で部下や後輩に教えてきたケースを紹介しながら、さまざまな文章スキル不足を「病」にたとえ、それを治療するというコンセプトで、スキルアップの具体的方法について解説します。

 第15回の治療は「客先提案性伝達不全症候群」の治療です。営業の仕事では、お客さまに提案することが欠かせません。しかし、その内容が正しく伝わらなかったり、言い方がよくなくてお客さまを怒らせることがあれば、それはとても不幸なことです。

 今日の患者さんも、そういう不幸を背負った状況でした。

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◆野口あやめさん(仮名 25歳女性)の症状◆

芦屋:では次の方、野口あやめさん、院長診察室へどうぞ……野口さん?

野口:(しばらくしてから携帯電話を持って入ってくる)……先生、すみません。お客さまから提案内容が分からないという電話が入ったもので、対応していまして……。

芦屋:いやあ、大変ですね。今回はうまく伝わりましたか?

野口:いや、そこが問題でして。お客さまから「何を言っているのか分からない」といつも言われるので、落ち込んでいます。言葉って本当に難しいです。身体面、精神面両方で、もう限界です。

芦屋:それはお辛いですね。営業をされている方にはそういう方が多いんですよ。ストレス解消のために遊びまくる人も多いんです。野口さんの場合は?

野口:まあ、ショッピングとか、いろいろです。ドクターは?

芦屋:釣りとか山とか……。まあ、私のことはいいでしょう。