本連載では、ビジネス文章力を向上させたい方のために、筆者がこれまで実務の現場で部下や後輩に教えてきたケースを紹介しながら、さまざまな文章スキル不足を「病」にたとえ、それを治療するというコンセプトで、スキルアップの具体的方法について解説します。

 第14回の治療は「他人配慮力欠乏症」の治療です。仕事は一人ではできません。そこで重要なのが、人に仕事を依頼することです。そして、それには十分な配慮が欠かせません。

 「誰にでも配慮できる、いつでも配慮できる、意識せず配慮できる」。これができれば苦労はありませんが、多くの人は自分本位で考えてしまいます。その結果、他人に配慮ができない、ということになります。今日の患者さんは、そういう状況でクリニックに来られたのでした。

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◆大西みみかさん (仮名23歳女性)の症状◆

芦屋:次の方は、ええと、大西みみかさんですね。今日はどうされましたか?

大西:はい、仕事で結構悩んでおります。入社して1年、今年の初めくらいからなんですけど、他部門に依頼してやってもらう仕事の管理が面倒で……。うーん、面倒ではないですね。はっきり言って、他部門の仕事が遅くて困ってます。

芦屋:はあ、他部門の仕事が遅く手困ってるんですね。でも随分自己中心的に聞こえますが……。