最近、スマートフォン市場で世界的に注目を集めているのが、Androidのベース部分だけを使用し、Google関連のアプリを使用せずに独自のアプリを搭載した「Androidフォーク」と呼ばれるものだ。こうしたAndroidフォークの存在は、アプリマーケットの拡大に貢献し、開発者にメリットを与える存在となり得るだろうか。

急増するAndroidフォークとは?

 スマートフォンの進化停滞や、先進国から新興国へと市場が大きくシフトするのに伴い、スマートフォンの端末だけでなく、OSにも広がりが見られるようになった。以前連載で取り上げたFirefox OSはその象徴的な事例といえるが、最近注目を高めているのが「Androidフォーク」だ。

 一般的にAndroid端末には、Androidのカーネルなど基本的な機能のみが含まれている「Android Open Source Project」(AOSP)に加え、グーグルの各種サービスやGoogle Playなどが利用できる「Google Mobile Service」(GMS)が搭載されている。つまりAndroidの中身は、ASOPとGMSの2つによって構成されているのである。

 ASOPはオープンソースであり、誰でも自由に利用できる。一方GMSは、搭載デバイスの認証にグーグルの有料テストを通過する必要があると言われており、誰でも自由に搭載できるわけではない。そこでGMSを搭載せず、ASOPをカスタマイズしたり、ASOPの上に独自のインタフェースやアプリケーションなどを搭載したりしたプラットフォームが登場した。これが「Androidフォーク」だ。

写真1●アマゾンの「Fire OS」
写真1●アマゾンの「Fire OS」
Androidフォークの代表例。ASOPを採用しながらも、インタフェースやアプリマーケットは独自のものとなっている。
[画像のクリックで拡大表示]

 Androidフォークの代表例が、米アマゾンのKindle Fireシリーズに搭載されている「Fire OS」だ(写真1)。Fire OSはベースこそASOPであり、Android用のアプリがそのまま動作するが、インタフェースはスライダーをベースとした独自のもの。このように大幅にカスタマイズされているため、アプリマーケットも「Amazon Appstore」という独自のものを用意するなど、一般的なAndroid端末とは大幅に異なる内容となっている。