「早急にセキュリティを強化したい」――。電子材料の開発・生産を行っているベンチャー企業、Z社のT社長から電話を受けて、新人営業のD太君と先輩SEのM子さんはZ社に駆けつけました。Z社のIT担当は、経理と兼業のKさん一人。運用負荷が軽減できるクラウド型セキュリティソリューションが向いていそうです。

T社長 さっそくだが、セキュリティ対策を強化したいと考えているんだ。

D太 突然ですね。どうしましたか?

T社長 先日、取引先の社員が来て当社のITについていろいろと聞かれたんだ。その結果、「もっとセキュリティ対策のレベルを上げてください」と指導されてしまったんだ。

M子 機密情報を入手するために、企業の情報システムに対する攻撃が相次いでいます。それを受けて、大手企業がサプライチェーンを構成する取引先のセキュリティ対策に関心を持ち始めていますね。

T社長 そういうこと。早く手を打ちたいんだ。

Kさん (浮かない表情で)でも、先日、ITに詳しい先輩が退職されてしまい、ITの面倒を見ているのは経理の仕事を兼業している私一人という状況です。

M子 ウイルス対策ソフトは導入されているんですよね。

Kさん ハイ。自社でサーバーを立ててセキュリティソリューションを運用しています。経理が本業の私には、IT関係の仕事は荷が重いというのが本音です。セキュリティ製品の運用がちゃんとできているのか、と問われると自信がありません。

M子 Kさんに朗報です。実は、セキュリティソリューションにクラウド化の波が来ています。クラウド型セキュリティソリューションを利用すれば、負荷が軽減できると思います。

Kさん (表情が明るくなって)どういう仕組みなんですか?

D太 クラウド上にウイルス対策ソフトなどのセキュリティソリューションを導入しておき、ユーザー企業にクライアントモジュールを配布します。ウイルス対策ソフトがネットワーク経由で企業のITを監視し、情報漏洩や不正侵入を防ぐ仕組みです。