以前この「極言暴論」で、基幹系システムの技術者はやがてWeb系の技術者に取って代わられる、という話を書いた。Web系の技術者の読者からは賛同のコメントをもらったが、案の定というか、基幹系の技術者の読者からは「業務プロセス設計の重要性が分からない者の暴論」といった批判も多数寄せられた(関連記事:企業システムの技術者が駆逐される日)。

 最近このテーマでいろいろと話を聞く機会があり、私としても再度熟考してみた。その結論はやはり同じ。どう考えても、基幹系の技術者は駆逐される。企業の情報システムの開発において、Web系の技術者が主役の座に就くのは歴史的必然である。そして基幹系の技術者の多くが、その事実に気付かないし、気付いても認めようとしない。だから、駆逐されてしまうのである。

 前回の記事で基幹系の技術者は駆逐されるとしたのは、単に企業のIT投資の主流がERPなどの基幹系システムから、WebマーケティングやEC(電子商取引)などビジネス直結のシステムに移りつつあるからではない。そうしたトレンドの中で、技術者にはビジネスを考える力や変化へのスピーディーな対応力を求められるようになり、基幹系の技術者はその面でWeb系の技術者に大きく劣るからだ。

 だが、いま読み返すと分析が一部甘いところがある。もちろん大筋では正しいと思うが、問題は「ビジネスを考える力」とは何か、つまり「システムに実装されるビジネスを設計する力」とは何かということである。そして、基幹系の技術者から言わせれば、それは「業務プロセスを設計する力」ということになる。

 そんなわけで基幹系の技術者にとっては、Web系の技術者が自分たちに取って代わるなどと言う「暴論」は、片腹痛いことだろう。変化対応のスピードでは劣るかもしれないが、業務プロセスを設計する力があるとは思えないWeb系の技術者に負けるはずがない、と思っているかもしれない。