田村 雅行 氏
1954年5月大阪府生まれ。77年4月にキリンビール入社。工場経理、システム開発などを担当。87年4月にキリンビジネスシステム出向、流通支援を担当。94年9月からキリンビールで営業部、営業推進部を担当。2000年3月キリンビジネスシステム取締役。2005年3月キリンビジネスシステム社長。2007年3月キリンビールのグループ間接業務統合プロジェクトリーダー。2010年3月キリンビジネスエキスパート常務取締役。2011年3月キリングループオフィス常務取締役業務統合推進部長。2013年1月にキリン常務執行役員情報戦略部長に就任。(写真:新関 雅士)

 キリングループにとって「次のIT」とは、すなわち人材育成だと思う。

 私は経理やシステム畑が長く、2007年からキリンビールやキリンビバレッジなどグループ各社の間接業務の統合・共通化を推進してきた。その過程で、物流や会計関連のシステム整備は一段落している。あと5~10年は使えるだろう。

 一方で、IT部門の人材育成は急務だ。これからは、「物流システムに強い人」や「会計システムに強い人」ではなく、事業変革を主導できる人材を育成しなければならない。

 そのために、キリン情報戦略部の役割を見直した。約20人の部員は「ビジネス・リレーションシップ・マネジャー」という役割を担う。その名の通り、事業部門とシステム子会社であるキリンビジネスシステム(KBS)の間に入り、事業とシステムの関係をマネジメントする役割だ。

 当社のシステム開発プロジェクトは、事業部門と情報戦略部、KBSの担当者が3者一体となって取り組む。事業部門は「この機能も欲しい」「BCP(事業継続計画)も心配だ」となりがちだ。KBSはシステム寄りの立場なので、要望通りのシステムを作るように頑張ってしまう。