キリングループにとって「次のIT」とは、すなわち人材育成だと思う。
私は経理やシステム畑が長く、2007年からキリンビールやキリンビバレッジなどグループ各社の間接業務の統合・共通化を推進してきた。その過程で、物流や会計関連のシステム整備は一段落している。あと5~10年は使えるだろう。
一方で、IT部門の人材育成は急務だ。これからは、「物流システムに強い人」や「会計システムに強い人」ではなく、事業変革を主導できる人材を育成しなければならない。
そのために、キリン情報戦略部の役割を見直した。約20人の部員は「ビジネス・リレーションシップ・マネジャー」という役割を担う。その名の通り、事業部門とシステム子会社であるキリンビジネスシステム(KBS)の間に入り、事業とシステムの関係をマネジメントする役割だ。
当社のシステム開発プロジェクトは、事業部門と情報戦略部、KBSの担当者が3者一体となって取り組む。事業部門は「この機能も欲しい」「BCP(事業継続計画)も心配だ」となりがちだ。KBSはシステム寄りの立場なので、要望通りのシステムを作るように頑張ってしまう。