本連載では、ビジネス文章力を向上させたい方のために、筆者がこれまで実務の現場で部下や後輩に教えてきたケースを紹介しながら、さまざまな文章スキル不足を「病」にたとえ、それを治療するというコンセプトで、スキルアップの具体的方法について解説します。
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第11回の治療は「他人説得虚弱症」の治療です。仕事は一人ではできません。時に、どうしても他人を説得しなければならないケースがでてきます。自分ではなく、他人にやってもらわないといけない仕事を進めるには、他人を説得する必要があります。
しかし、他人を説得するのは、特有の難しさがあります。他人を説得したいのに、説得できない……。こういうことが続くと大きなストレスになり、仕事が嫌になってしまいます。今回の患者さんは、そういう悩みを抱えていました。
芦屋:神田サブロウさんですね、今日はどうされましたか?元気がないですね。ちょっと自信を失った表情になっていますよ。
神田:はい。実は、最近人が怖くて、ちょっと不安なんです。僕は今入社3年目なんですけど、最近人を説得する機会が増えまして……。
芦屋:はい、なるほど、それで?
神田:はい、他人を説得したいのですが、上手くいかないんです。説得しようとすると、相手が怒ってしまって。それで自信がなくなってしまいました。
芦屋:なるほど。他人を説得する仕事が増えたら、上手くいかなくなったということですね。
神田:はい。説得できないどころか、皆怒り出す始末で。もう、怖くて人を説得しようとすると、動悸、息切れ、めまいが……。
芦屋:「説得できない」ですか。同僚、後輩、上司や上長、関係部門の人を説得しようとすると、上手くいかないので、ストレスが溜まって辛くなるということですか?