NTTドコモがメディア・コンテンツ事業や生活関連事業など携帯電話事業の周辺領域を拡大している。同社が“新領域”と呼ぶこれらの分野において、2013年度の売上は6320億円。これを2015年度には1兆円にまで拡大する目標を掲げている。この1兆円の売上のうち、約7割を担うと期待されているのが「dマーケット」やヘルスケア事業などを管掌する同社のスマートライフビジネス本部である。同本部長で常務執行役員の阿佐美弘恭氏に、2013年度に取り組んできたこと、そしてこれからの展開を聞いた。

(聞き手は、大谷 晃司=日経コンピュータ


2013年度通期の決算が発表された(関連記事)。dマーケットなど新領域のビジネスで2013年度に強化したことは。

NTTドコモ 常務執行役員 スマートライフビジネス本部長 阿佐美弘恭氏
NTTドコモ 常務執行役員 スマートライフビジネス本部長 阿佐美弘恭氏 写真:新関雅士

 2013年度で大きかったのは何と言っても2013年9月から導入したiPhoneへの対応。いかにiPhoneとAndroidの両方で(dマーケットなどの)サービスを展開していくかに注力した年になった。サービスを提供する側はiPhoneでもAndroidでも、同じサービスを展開できなければならない。AndroidからiPhoneに乗り換えたユーザーが、サービスを継続して利用できる仕組みを作る必要もある。こうしたサービスを提供する基盤を整備できたのが2013年度だ。

 現在、AndroidとiPhoneでほぼ同じサービスをラインアップできている。(dビデオなどの)月額課金系サービスの契約数は(2013年度)第3四半期は伸び悩んだが、それが第4四半期に復調した。サービスの申し込み比率も両OSで同程度になってきており、2013年度末で見るとほぼ同じレベルにまできた。

 iモード単独の時代が終わり、マルチOS環境に変わってきた中で、エコシステムも複数化している。iPhoneやAndroidは端末側にエコシステムが乗っている。端末のエコシステムとドコモのエコシステムをどううまく組み合わせて、顧客から付加価値が高いネットワーク事業者であると思ってもらえるか。そのステップ、サービスの構造改革はひと段落したと思っている。両OSにサービスを提供するインフラが整備できたので、2014年度はいかにサービスの契約数を増やすかに注力し、ラインアップも強化する。