無線LANの規格の一つ。IEEE(米国電気電子技術者協会)により、2014年1月7日に正式規格として承認された。規格上の最大通信速度は、IEEE 802.11nの11倍以上である最大6.9Gbps。IEEE 802.11gやBluetoothなどで混雑しがちな2.4GHz帯ではなく、5GHz帯のみを使用する。正式に承認される前から11acのドラフト(暫定)規格に対応した無線LANルーターやパソコンやスマートフォンなどが多数販売されていた。

 IEEE 802.11acは、帯域幅の拡大や通信の多重化(MIMO)、変調方式の変更などにより高速化した。帯域幅は11nの最大4倍。11nが40MHzまでだったのに対し、11acは80MHzまたは160MHzで利用できる。また、11acではアンテナ8本(8×8)を使った通信の多重化が可能。11nは4本(4×4)までだった。最大速度の6.9Gbpsは、帯域幅160MHzでアンテナ8本の構成にしたときだ。

 IEEE 802.11acを利用するには親機となる無線LANルーター/アクセスポイントと、子機である端末側の両方が11acに対応している必要がある。無線LANルーターの上位モデルには、アンテナ本数を増やして1.3Gbpsで通信できるようにした製品が多いが、安価な製品だと11ac対応でも最大速度が867Mbpsや433Mbpsになっている。スマートフォンやタブレットのように小型の端末は複数のアンテナを搭載しにくいため、最高速度が433Mbpsの製品が多い。