セミナーや社内教育で、「要因漏れをなくすにはどうすればよいのか?」という質問がよく出てきます。このような質問には、以下のように回答しています。要因漏れはなぜ発生するのか考えてみると、2つのケースが考えられます。
 
 1つは、知識がないために、ある要因までたどりつけない場合。もう1つは、知識・経験があるにもかかわらず、ある要因にたどり着けない場合です。

 前者は、知識不足を補う手段を取らざるを得ません。この場合は、その分野に詳しい人を連れてくるか、またはこちらから聞きに行くことです。

 後者の場合は、事前に現物・現物による調査や、設備や作業の場合は部品や単位作業のつながりを再確認し(事前の調査が非常に重要!)、その上で、つながりに基づいて細かく「なぜ」を繰り返していくことが必要です。

 特に、あいまいすぎる表現が、一つひとつのつながりに対する不明確な捉え方までも誘発させてしまう傾向にあり、それによって要因漏れを発生させてしまっているようです。

 例えば、コンベアのガイドがガタついているのを、「ガイドがゆるんでいる」と表現してしまうのが、それに該当します。この文章は、「ガイドがガタついている」と「ガイドの固定ボルトがゆるんでいる」という文章を、うっかり一緒にしてしまった例です(ガイドは決してゆるみません!)。

 このほかには、「逆から読み返してもつながる」といったルールや、前提条件を踏まえて「考えられる要因を全て書き出して」、一つひとつチェックしていくこと。さらには基本的な「『現象』や『なぜ』に書く文章は、1つの事柄にする」といったことをきっちりと実施すれば、ずいぶんと要因漏れが少なくなります。

 でも、そのためには何回も繰り返し「なぜなぜ分析」を実施しないと、そこまで気が回りませんが・・・。 

 
まとめ
ヒューマンエラーの原因を探る場合、要因漏れが発生しがちだ。それを回避するためには、手を抜かず、考えられる要因を全て書き出すこと。そして要因として挙げた文章にあいまいな表現を極力省くことが欠かせない。