楽天証券は2014年5月7日、コールセンターシステムを刷新し、同日から新システムの利用を始めると発表した。刷新したのは、東京と福岡に拠点を持つコールセンターのオペレーターが利用するシステム。プロジェクトを統括した同社 マーケティング本部 副本部長 カスタマーサービス部長 兼 WEB編集室長の神田康之氏は、「5億円を投じたこのシステム刷新により、急激な入電数の増加時にも、コールセンターのキャパシティを柔軟に拡張できるようになる」と、自信を見せる(写真)。

1日5000件超の入電、「つながりにくい」とのクレームも

写真●楽天証券 マーケティング本部 副本部長 カスタマーサービス部長 兼 WEB編集室長の神田康之氏
写真●楽天証券 マーケティング本部 副本部長 カスタマーサービス部長 兼 WEB編集室長の神田康之氏
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 楽天証券が旧コールセンターを福岡に構築したのは2006年春のこと。しかし当時55万だった口座数は、2014年3月末時点には167万口座にまで増加。加えて、アベノミクス効果もあり、証券取引量が拡大したことでコールセンターへの問い合わせ数は急増していた。

 「証券取引のピークだった2013年4月と5月には、1日5000件を超える入電があった。当時は、我々が一つのボーダーラインとしている『受電率(着信に対する応答した数の比率)9割』を下回ることも多く、お客様からは『つながりにくい』とお叱りを受けることもあった」と、神田氏は話す。「オンライン専業の証券会社にとって、顧客と直に接するコールセンターは生命線。受電率向上のためにも、コールセンターの強化が急務だった」(同)。

 旧コールセンターシステムでは、(1)オペレーター用の電話番号が枯渇しつつある、(2)PBX(構内交換機)が他の社内業務と共有されており拡張が困難---といった課題があり、単純にオペレーターの人数を増やせば対処できる問題ではなかった。「今後また入電数が急増したときに、オペレーターを増やして受電率を維持できるようにするには、コールセンターシステムを社内システムから独立させ、柔軟にキャパシティを拡張できるシステムに刷新する必要があった」と、神田氏は説明する。