何年か前まで小売りの領域では、オンラインとオフラインの戦略・施策は、互いに相容れられないものとして考えられていた。この1~2年でようやく「O2O(Online to Offline=オンライン上の情報や活動が実店舗での購買行動に影響すること。実店舗での購入につなげるためにオンライン上で行われるマーケティング活動)」という言葉がマーケティング担当者に定着し、語られるようになってきた。

 さらにO2Oの定着に伴い、オンラインでのマーケティングやプロモーション活動を、実店舗での売り上げにつなげていくかについて、企業が考え始めるようになってきた。

 企業が実店舗での購買を促すために展開するオンライン施策は、規模の大小を問わずあちこちで見られるようになってきた。実店舗での売り上げ促進のために、オンライン施策が不可欠になっていると言ってもいいだろう。

 そうした現状を改めて認識できる調査結果を、2014年4月に米Deloitte Digitalが発表した。2013年11月に米国内で実施した調査の結果を「The New Digital Divide (新しいデジタル・デバイド)」と題したレポートにまとめている。

 この中で最も象徴的に語られていたのが「2013年、米国内における実店舗による売り上げの36%は、デジタルの影響を受けたものである」という報告である。金額にして約1.1兆ドル(約110兆円)に相当する。2012年は実店舗の売り上げの14%がデジタルの影響を受けており、金額は約3400億円だった。つまりこの1年で大幅に数字を伸ばしている。

 モバイルも実店舗での売り上げに強い影響を与えていた。2012年の数字では実店舗の売り上げに対して5%程度のインパクトだったものが、2013年では19%にまで伸びている。金額にして1590億円(2012年)から5930億円(2013年)と4倍弱の伸びであり、モバイルが実店舗の売り上げを伸ばすために無くてはならない要素となっていることがわかる。