日本におけるオープンソースソフトウエア(OSS)に関する活動は、年々活発化している。海外で開発されたOSSをただ使うだけでなく、自らが開発したソフトをOSSとして公開したり、海外のOSSの開発に積極的に関与したりする日本人が増加しているのだ。2014年2月末に行われた「第9回日本OSS貢献者賞」の受賞者講演から、日本のOSSコミュニティの今を見ていこう。

 日本OSS貢献者賞は、影響力のあるOSS開発プロジェクトを創設・運営した開発者や、世界的なプロジェクトで活躍する開発者、OSSの普及に貢献した人物を表彰するもので、2014年に第9回を迎えた。2014年2月末に開催された「オープンソースカンファレンス2014 Tokyo/Spring」(写真1)では、受賞者である海外浩平氏、成瀬ゆい氏、羽鳥健太郎氏、藤野圭一氏の4氏が講演を行い、自らの活動を紹介したり、受賞の感想や今後の意気込みなどを述べたりした。

写真1●「第9回 日本OSS貢献者賞」と「同奨励賞」の受賞式の様子
写真1●「第9回 日本OSS貢献者賞」と「同奨励賞」の受賞式の様子
[画像のクリックで拡大表示]

OSSはビジネス成功への現実解、「PG-Strom」開発者の海外氏

写真2●「PG-Strom」開発者の海外浩平氏
写真2●「PG-Strom」開発者の海外浩平氏
[画像のクリックで拡大表示]

 NECに所属する海外浩平氏(写真2)は、Linuxカーネルのセキュリティ強化機能「SELinux」など様々なOSSのセキュリティ機能の開発への貢献や、リレーショナルデータベースである「PostgreSQL」の性能をGPUによって向上する「PG-Strom」の開発などが評価され、日本OSS貢献者賞を受賞した。