仕事には様々な「解決すべき課題」がある。情報システムなどのデジタルソリューションを手掛ける部署にも特有の課題は多い。

 限られたIT予算の中で、企画、製造、営業、経理、各部門からの要求に応じなければならない。社内のシステム利用者とシステム開発を担当するITベンダーの間の調整で板挟みになる。要件定義をめぐって意思疎通の齟齬が起きてしまう――。

 これらの課題を、できるだけ確実にクリアしたい。だが、社内に確立された課題解決手法がなく、先送り、その場しのぎ、実行者なし、といった状況になっている場合もあることだろう。

 一方、企業で起きる課題に対して、特徴的な課題解決プログラムを構築し、それを駆使して合理的に解決しているいる企業もある。日産自動車がそうだ。

 カルロス・ゴーン氏(日産自動車の社長兼最高経営責任者)が来て以降、日産は業務改革の一つとして体系的な課題解決手法の開発に着手した()。

表●日産自動車「V-up」導入の経緯
表●日産自動車「V-up」導入の経緯
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写真●「V-up」における課題解決にむけた討議の様子。日産自動車グローバル情報システム本部にて(写真提供:日産自動車)
写真●「V-up」における課題解決にむけた討議の様子。日産自動車グローバル情報システム本部にて
(写真提供:日産自動車)
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 その結果出来上がったのが、課題解決プログラム「V-up」である。V-upを使って、日産のあらゆる部署が課題解決を果たしてきた。そして今回、取材で明らかになってきたのは、日産の情報システム部門も、V-upで効果的に様々な課題を解決しているということだ(写真)。

 日産のシステム部門がV-upをどのように役立てているのか。そして、ほかの企業の情報システム部門でも、V-upのノウハウを役立てることができるのだろうか。これらを明らかにするのが、本特集のテーマである。