東京電力が2016年をメドに、200に上る業務システムのうち80強を刷新、改修することが本誌取材で明らかになった。投資額は600億円程度になると見られる(本誌推定)。今後基本検討やベンダー選定を終え、2014年7月までに本格的な開発に着手する。既に一部のシステムについては、先行して基本設計に入っているという。
システム刷新、改修の背景にあるのは、政府が進める電力システムの改革だ。経済産業省は電力小売りの全面自由化を目指し、電気事業法の改正案を固めている。同省は、2014年の通常国会で成立させたい考えだ。改正法案が可決されれば、2016年から「小売り」「送配電」「発電」といった事業類型ごとにライセンス制が導入される。
東京電力は、来たるべき法改正に備えて三つの社内カンパニーを分社化。2016年4月にも、持株会社を含めて四つの企業組織から成る体制に移行する計画だ(図)。「移行と同時に、新たな全面自由化ルールに沿った仕事ができるよう、業務システムを集中的に開発、改良していく」と、山口博取締役・代表執行役副社長は話す。