グーグルが語る社会変革、独特の価値観、浮き彫り

 米グーグルの会長と同社が設立したシンクタンクのトップが、技術による社会や国家の変革の可能性を論じた書。同社のスタンスは、自由なネットが社会の不正を是正する力を市民にもたらすというものだ。グーグルは大規模なサイバー攻撃を受けるなど、様々な国家や権力者から絶え間ない圧力を受けている。本書ではグーグルがそれらの圧力に屈するつもりのないことが、何度も述べられている。

 一方、「性教育よりも先に、プライバシーとセキュリティの教育が必要になる」と断言するなど、同社がプライバシーを侵害している当事者であるという認識に欠ける発言も目に付く。同社の独特の価値観が浮かび上がる一冊だ。

第五の権力


第五の権力
エリック・シュミット/ジャレッド・コーエン 著
櫻井 祐子 訳
ダイヤモンド社発行
1944円(税込)