名刺管理の“果てなき放浪”がようやく安住の地に行き着いたような気がする。

 仕事をしていると名刺は増えていく。ライターという職業だと、取材のたびに何人とも名刺を交換する。出版社の編集や企業の広報など長いご縁になる方がいる一方、取材で一度きりの方も結構いる。中には退職された方もいる。もうその名刺に連絡することがないとしても、名刺は「ご縁」の形。捨てられない。

 そうはいうものの、未整理の状態で積まれていたら「持っている」と言えるかという疑問も。当初はラベル付きの名刺ケースに整理して保存していた。それが2箱目からは整理されずにただ詰められているだけ。2箱目があふれると……もうその先は言うまい。

 「そろそろ、どうにかしなくては」と思い始めて何年も経つ。恐らく1000枚以上あるので、分類して箱に詰めても不毛な気がする。やはりデータ化しなくては。最低でも画像データとして残し、全ての情報は無理としても、氏名とメールアドレスなど主要な項目は文字データとして検索できるようにしておきたい。

 この要件でいくつかの名刺管理ソフトを試してきた。

スキャナーに名刺を並べるのは大変

 数年前はスキャナーに並べて読み取るソフトウエアを購入したことがある。ただしスキャン面に名刺を並べたり、文字認識の結果を確認したりする手間がかかる。全部処理するまでの時間と労力を考えると気が遠くなった。数十枚試したところで挫折した。

 近年ではスマートフォンのカメラで撮影して文字認識するアプリもある。作業としては1枚ずつカメラで撮影することになる。年々読み取りの精度が高まっているので、これからもらう名刺は、こういうタイプのアプリで対処できるような気がしてきた。