アシックスは、グローバルで統一した電子商取引(EC)基盤の構築にスイス製ソフト「ハイブリス(Hybris)」の導入を決め、同ソフトのスペシャリストである米国人、ジョナサン・ラマスター氏を迎え入れた。ハイブリスは消費者向けだけでなく、法人向けも同じ基盤で対応でき、モバイル向け機能も備え、ECサイトを世界中の様々な国・地域、チャネルに広げられる可能性を秘める。国内外でハイブリスを使ったサービス構築の実績を持つラマスター氏が、アシックスのグローバルIT戦略を先導していく。

ジョナサン・ラマスターさん
出身:米国
アシックス グローバルIT統括部
(写真:菅野 勝男)

 「日本で知られていない技術であっても、世界を見渡せば有用なものがある。ECについての専門性を生かし、事業を世界レベルで変えたい」。欧州、北南米、アジアなどでスポーツ用品を手掛けるアシックスで世界規模のEC基盤を担当するジョナサン・ラマスター氏は、そんなビジョンを思い描く。

 ラマスター氏は米国出身だが、「自分の生まれた国の外で働いてみたかった」というグローバル指向の持ち主。日本語が堪能ではないにもかかわらず、IT関連の就職先が豊富な米国ではなく、あえて日本企業に飛び込み、ここで変革を起こそうとしている。

 ラマスター氏の強みは、グローバルで統一したEC基盤を構築できるパッケージソフト「ハイブリス(Hybris)」の専門家であること。スイスの新興ベンダーであるハイブリスが開発した同ソフトは、「日本ではまだほとんど知られていない」(ラマスター氏)。

 しかし複数の言語や通貨、国ごとの税額計算に対応した柔軟性の高さが評価され、米国をはじめとする海外で、大きな注目を集めている。

 ハイブリスは消費者向けだけでなく、法人向けも同じEC基盤で対応でき、モバイル向け機能も備える。ECサイトを世界中の様々な国・地域、チャネルに広げられる“起爆剤”となり得る。ラマスター氏の夢をかなえられる強力な武器だ。