「日本はエンジニアリングの国なのにエンジニアが足りない。一つの理由はエンジニアへの敬意が足りないから。それでは若い人がエンジニアを目指さない。もっともっと、リスペクト・フォー・エンジニアというものがあってほしい」。ピーテル・フランケン氏はこう語る。フランケン氏はマネックス証券で常務執行役員CTO(最高技術責任者)を務めるとともに、放射線を測定し結果を公開するSAFECAST(セーフキャスト)と呼ぶボランティア活動に取り組んでいる。ビジネスと社会活動の両方でIT(情報技術)を使いこなすフランケン氏と、ITリサーチ最大手、ガートナー ジャパンの日高信彦代表取締役社長の後編をお届けする(前編は『「インソーシング」にした訳~マネックス証券 「この時代にアウトソーシングは無理です」』)。

(構成は谷島宣之=日経BPビジョナリー経営研究所研究員、
中村建助=ITpro編集長)


日高:ビジネスとITのかかわりの最新動向と、こうした状況下でマネックス証券としてどういう戦略をとるか、具体的には重要なソフトを自分で作ってしまうインソーシング戦略について伺いました(詳細は前編『「インソーシング」にした訳~マネックス証券 「この時代にアウトソーシングは無理です」』)。

 その一方、ピーテルさんはボランティアで、放射線を測定してその結果を公開するSAFECAST(セーフキャスト)を作られた。その話を少し伺います。どういうお気持ちで活動を始めたのでしょうか。

ピーテル・フランケン マネックス証券常務執行役員(右)と日高信彦 ガートナー ジャパン 代表取締役社長
ピーテル・フランケン マネックス証券常務執行役員(右)と日高信彦 ガートナー ジャパン 代表取締役社長(写真:的野 弘路、以下同)

フランケン:2011年の3月11日、東日本大震災が起き、福島の原子力発電所で事故が起きました。そのとき僕は東京にいたのですが、子供への影響をとても心配しました。若いときにオランダにいた際に、チェルノブイリの事故を経験した記憶も蘇りました。