[2]地下駅に張り巡らされた無線網、周辺店舗の集客ツールにもへ戻る

写真1●「JR東日本アプリ」と「山手線トレインネット」を告知する山手線のラッピング列車
写真1●「JR東日本アプリ」と「山手線トレインネット」を告知する山手線のラッピング列車
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 今回は、東日本旅客鉄道(JR東日本)が2014年3月に本格サービスを始めた「山手線トレインネット」(写真1)を取り上げる。先に断っておくが、現在の山手線車両ではWi-Fiサービスは提供していない。今後も提供する予定はない。

 JR東日本でも、「特急成田エクスプレス」や「特急スーパーひたち・フレッシュひたち」の新型車両で車内Wi-Fiを利用できる([4]も参照)。主要駅では無料Wi-Fiサービスも提供している。

 山手線トレインネットも、過去の実証実験では無料の車内Wi-Fiサービスを提供していた(関連記事)。にもかかわらず、本格サービスの開始に当たってWi-Fiサービスを省いた。「乗り物Wi-Fi大集合」という特集の趣旨からは少し外れるが、今回は、その経緯を含めて山手線トレインネットを紹介したい。

乗客のスマホにきめ細かく情報配信

写真2●山手線トレインネットの画面。新宿駅手前の列車の6号車にいることを示す。隣の7号車の方が混雑率が低いと分かる
写真2●山手線トレインネットの画面。新宿駅手前の列車の6号車にいることを示す。隣の7号車の方が混雑率が低いと分かる
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 「無料Wi-Fiをやめた理由」を説明する前に、2014年3月10日から始まったサービス内容に触れておく。山手線トレインネットは乗客向けの情報配信サービスである。同日からJR東日本がiPhoneとAndroidスマートフォン向けに配信を始めた「JR東日本アプリ」から利用する(関連記事:JR東日本が独自アプリで運行情報配信、山手線トレインネットは全52編成導入へ)。

 山手線は、東京・品川・渋谷・新宿・池袋・上野・秋葉原といった東京都心の主要ターミナル駅を結ぶ1周約35kmの環状路線だ。アプリをインストールしたスマートフォンを持った状態で車両に乗車すると、「線内のどこを走っている列車の何号車にいるか」という位置情報を検知する。

 これを基に「次は新宿です」などと表示。次の駅で今いる車両から近い出口や乗り換え階段の位置も案内する。今乗っている列車の各車両の混雑率や室温を閲覧することもできる。乗客はこれを参考にして、涼しい・温かい車両や、空いている車両へと移ることができる(写真2)。