本連載では、ビジネス文章力を向上させたい方のために、筆者がこれまで実務の現場で部下や後輩に教えてきたケースを紹介しながら、さまざまな文章スキル不足を「病」にたとえ、それを治療するというコンセプトで、スキルアップの具体的方法について解説します。

 第10回の治療は「お詫び力欠乏症」の治療です。仕事をしていれば、時に相手を怒らせ、苦情に発展にすることがあります。

 苦情を嫌と思うビジネスパーソンは多いことでしょう。「逃げたい、避けたい、面倒、何で私が文句言われるのか……」、そう思ってしまう状況もあるでしょう。でも仕事では、苦情から逃げることは得策ではありません。上手に謝罪するのも、仕事の一部です。

 苦情にならないように注意を払うことは当然ですが、それでも誤解や行き違いで相手が怒ってしまうことはあります。相手の怒りにどう対処するのか、いさかいを収めてやりとりを再開するには、どうすればよいものか。

 今日の患者さんは、そういう“お詫びする力”が欠乏していたのでした。

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◆山端マナミさん(仮名 25歳女性)の症状◆

芦屋:では次の方、山端マナミさん、院長診察室へどうぞ。山端さん、どうかしましたか?

山端:(しばらくしてから携帯電話を持って入ってくる)先生、すみません。ちょっと苦情の電話が入ったもので……。

芦屋:いやあ、大変ですね。苦情ですか。