ここまで、Samba 4を用いて新たにADドメインを構築して利用するにはどうすればよいのか説明してきた。ただ、実際にはまっさらな状態からADドメインを構築するばかりではなく、既にNTドメインやWindows ServerによるADドメインを運用している利用環境を、Samba 4によるADドメインに移すケースも多々あるだろう。そこで、そうした移行法について取り上げる。

(1-1)Samba 3(NTドメイン)からSamba 4のAD DCへ

 まず、Samba 3からSamba 4への移行について解説する。ここでは、Samba 3とSamba 4は別のサーバーで動作させる想定とする。

 移行元となるSamba 3(NTドメイン)は、次の環境であるとする。

・OSは「CentOS 5.10」(x86-64)
・IPアドレスは「172.16.12.3/24」
・SambaはOS付属の「samba3x-3.6.6-0.138.el5_10」
・OpenLDAPはOS付属の「openldap-2.3.43-27.el5_10」 (認証DBとしてLDAPを利用)
・NTドメイン名は「SAMBAEXAMPLE」
・ドメインコントローラー名は「PDC」

 また、移行先となるSamba 4は、次の環境であるとする。

・OSは「CentOS 6.5」(x86-64)
・FQDNは「PDC.SAMBAEXAMPLE.COM」
・IPアドレスは「172.16.12.4/24」(データーコピーを行う際に一時的に変更する)