本連載では、ビジネス文章力を向上させたい方のために、筆者がこれまで実務の現場で部下や後輩に教えてきたケースを紹介しながら、さまざまな文章スキル不足を「病」にたとえ、それを治療するというコンセプトで、スキルアップの具体的方法について解説します。

 第8回の治療は「指示力欠乏症」の治療です。仕事で他部門の人や後輩、部下に指示するときは的確に、間違いなく、やり直しがないようにする必要があります。うまく指示をすることで、組織のパフォーマンスは向上します。

 ただし、「指示」もなかなか難しいものです。よく考えないと、抽象的で曖昧なものになってしまいます。その結果、やり直しせざるを得なくなって、相手の不信につながることが多いので注意が必要です。今日の患者さんも、そういう問題を抱えていました。 

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◆竹中タイチさん (仮名 25歳男性)の症状◆

芦屋:次の方、竹中タイチさん、どうぞ。今日はどうされましたか。気分が悪そうですけど。

竹中:はい、昨日大阪で仲間で集まって飲み過ぎまして……。飲まないとやっていられない気分です。会社で仕事がうまくいかなくて。特に、部下や他部門の人に文句を言われてまして。

芦屋:それは大変ですね。何か周囲を怒らせることでもしてしまったのでしょうか?