ビッグデータ時代の申し子とも言える「データサイエンティスト」。データを分析して業務を変革し、社内にイノベーションを起こす人材として注目を集めるデータサイエンティストだが、その育成・雇用は容易ではない。とはいえ、デジタル経営が叫ばれる昨今、データ分析やデータサイエンティスト育成というテーマに無関心ではいられない。

 だが何の手掛かりもなければ、迷走するリスクが高まる。実際に、「データ活用でビジネスを強化したいが、どこから手をつけたらいいか分からない」。こうした悩みを持つ経営層やビジネスパーソンは少なくない。

 そんなフラストレーションを解消するには、データ活用で変革する人・組織に学ぶことが得策である。本書は、日経情報ストラテジーが、「データサイエンス/データサイエンティスト」というテーマに絞って、様々な企業の経営層や現場を徹底取材し、「データ活用で成果を出す人」と「分析力で勝つ企業の事例」をまとめたものだ。

 「花王の24期連続増収増益を陰で支えるデータ分析集団の姿」をはじめ、楽天やソフトバンク、ヤフー、セコム、リクルート、大阪ガス、JAL、米P&G、英テスコなどで活躍するデータサイエンティストの仕事ぶりや本音、データ活用の実態を解説。データ分析組織の作り方やデータ活用で成果を生み出すための仕事の進め方が分かる。

 企業が実際に分析しているデータや数理モデル、ITツールの具体的な事例も数多く紹介されている。データサイエンティストが語る苦労談も興味深い。社長インタビューからは、経営層のデータ活用に対する期待が分かる。データ分析で事業強化を図りたいマネジャークラスにも参考になることだろう。

 図表・写真が多く、専門的な用語が少ないこともあり、平易で読みやすい内容に仕上がっている。データ分析に関心のあるビジネスパーソンには1度は手に取ってほしい1冊。データ活用で成果を出すための秘訣が分かるはずだ。

データサイエンティストの仕事術


データサイエンティストの仕事術
日経情報ストラテジー 編
日経BP社発行
1944円(税込)


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