「商品ブランドごとに、ネットの活用度合いや得られる効果にばらつきがある」。このように複数の商品ブランドを展開する企業が直面しがちな課題をデータ分析で解決しているのが、米P&G(プロクター・アンド・ギャンブル)。50種類ほどの日用品ブランドを、世界約70カ国に供給する大手消費財メーカーである。

 同社は、商品紹介サイトやEC(電子商取引)サイト、会員制サイトなど世界で約1500のWebサイトを運営。これらのWebサイトから、世界10億人の顧客の行動履歴データを自動的に収集・管理・分析するための新しいITシステムをクラウド上で稼働させている()。2011年にアジア、2012年にはアメリカで利用を開始し、2015年までに全世界で利用できるようにする計画だ。

図●米P&Gは世界共通システムの整備を進め、データ分析力を強化
図●米P&Gは世界共通システムの整備を進め、データ分析力を強化
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 新システムを使えば、「キャンペーンに積極的に参加してくれているロイヤルティーの高い顧客は誰か」「キャンペーンへの積極参加といった、高いエンゲージメントを示す顧客の行動を後押ししている理由は何か」「プロモーションに関心を寄せるものの、購入には至っていない顧客はどれくらいか」といった顧客の傾向分析ができる。

 新システムを導入する前は、顧客の行動分析に必要なデータをサイトから収集する手間がかかり、1回の分析に2週間ほどの期間を要したという。それが今では、1日に数回の分析が可能になった。