「KDDIはAWS(Amazon Web Service)の代理店になる」─。KDDIの藤井彰人サービス企画本部クラウドサービス企画開発部長はこう言い切る。同社は2014年1月20日、米アマゾン・ウェブ・サービスとの提携を発表。「KDDIのサービスラインアップの一つとしてAWSを取りそろえ、法人ユーザーにクラウドの『選べる自由』を提供する」という方針だ。

 サービス名は「AWS with KDDI」。AWSとKDDIのWANサービス「KDDI Wide Area Virtual Switch」(KDDI WVS)を直接接続する。加えて、日本の大手通信事業者では初めてAWSの再販に乗り出す。AWS導入・運用サービス「cloudpack」を提供するアイレットと提携して、保守・運用も含めてKDDIのメニューとして提供する。

 KDDIの取り組みは、通信事業者のクラウドサービス「キャリアクラウド」に変化の波が押し寄せている証左と言える。従来、通信事業者はアマゾンや米グーグルといったグローバルクラウドベンダーを“黒船”と見なしてきた。通信事業者自身でIaaS(Infrastructure as a Service)やクラウド型メールサービスを用意し、そうしたサービスの拡販に力を入れてきた。

 だが、サービス内容でアマゾンやグーグルに対して大きな違いを打ち出すまでには至っていない。クラウドサービスの主導権はグローバルベンダーに握られたままだ。こうした状況から、通信事業者は戦略を変え始めている。例えばセールスフォース・ドットコムの宇陀栄次社長は通信事業者に対して「以前は敵対的な反応もあったが、最近はかなり変わってきている。今ではNTTもKDDIもソフトバンクも重要なパートナー企業になっている」という。