待望久しかったiPad向けのマイクロソフト Officeシリーズがついに完成、日本以外の135の国や場所で無償配布が始まった。2月に新CEOとなったばかりのサトヤ・ナデラ(Satya Nadella)氏が「モバイルファースト」「クラウドファースト」と宣言してパソコンやデバイスに縛られない新たなビジネス戦略を打ち出す証しとして、マイクロソフトの主力商品OfficeをiPad向けにリリースした意義は大きい。

製品発表の記者会見もモバイルファースト

 就任後「52日」で「マイクロソフトのコアとなる最も重要な方向性」として、デバイスに縛られないデジタルライフを説明したナデラ氏。その発言、いちいち納得だ。マイクロソフトの主力商品の最も大きなシリーズを、iPad用に最適化した製品として世に問う。一見、敵に塩を送るような戦略にも見えるが、ユーザーの満足度を徹底して高めることで幅広い顧客を強く引きつけることができるのなら、これからのデジタルマーケットを牽引する存在になれる(図1)。

図1●マイクロソフトの未来はすべての「つながった機器」をあまねくサポートし、「モバイルファースト」「クラウドファースト」の世界を創ることと力説する新CEOのサトヤ・ナデラ氏(マイクロソフトが公開している記者会見のビデオ映像から)。
図1●マイクロソフトの未来はすべての「つながった機器」をあまねくサポートし、「モバイルファースト」「クラウドファースト」の世界を創ることと力説する新CEOのサトヤ・ナデラ氏(マイクロソフトが公開している記者会見のビデオ映像から)。
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 その記者発表の様子はマイクロソフトのこのページに掲載されており、iPadでも鮮明に閲覧できる。「モバイルファースト」「クラウドファースト」を宣言したことば通り、デバイスインデペンデントな情報提供が実現されている。「インターネットカンパニー」を高らかに宣言している企業でも、発表資料や製品案内ページがiPadで読めないといったおバカな企業がまだまだ多い中で、マイクロソフトのこの取組みは大いに評価できる。

 映像には英文の字幕も付けられていて、その様子がしっかり確認できる。見逃してしまった人は是非ご覧になることをお薦めする。