(イラスト・アニメーション:岸本 ムサシ)
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今回の回答者: シスコシステムズ ソリューションズ システムズ エンジニアリング シニアシステムズエンジニア 峯田 尚子 |
ネットワーク機器が設計された当初のことは既にわかりませんが、もともと「ルーターには電源スイッチがあり、レイヤー2(L2)スイッチにはない」ことが多いようです。背景には次のような理由があると考えられます。
ルーターに電源スイッチがある理由には、ルーターが流す経路情報が関わっています。ネットワークを構築する際、機器をLANケーブルで配線し、「今から経路情報をネットワークに流しても問題ない」と判断した時点で、管理者はルーターの電源スイッチをオンにします。こうして、経路情報を流すタイミングを制御するのです。電源スイッチがないと、LANケーブルをつないだ途端に経路情報が流れてしまうことが考えられます。
一方、単純なL2スイッチでは、機器間で経路情報をやり取りしません。配線と同時に電源が入っても構わないので、電源スイッチはいらないのです。
今は、ルーターとL2スイッチの機能を兼ねたレイヤー3(L3)スイッチもあります。そのため最近では、「ルーターには電源スイッチがあり、L2スイッチにはない」とは一概に言えません。機器の種類だけでなく、用途、価格、きょう体のサイズなどによっても、電源スイッチの有無は異なります。
ちなみに電源スイッチがない場合は、電源ケーブルを抜いて電源を落とすこともあります。ハードディスクのような記録装置がなく、メモリーからデータを読み込んで動作する機器なので、いきなり電源を落としても問題ありません。