数年前からバズワードとして語られてきた「ビッグデータ」について、この1~2年に様々な企業が試みを始めている。それに伴い、個人情報を中心としたデータのセキュリティー・プライバシーに関する規制やルール作りといった方面でも、様々な議論が繰り広げられるようになった(関連記事)。

 ではビッグデータの活用によりマーケティング施策を展開する企業は、ビッグデータをどのようなものとして捉えているのだろう。企業のビッグデータに対する意識が見える調査結果を、2014年1月に大手会計事務所のKPMGが発表した。

 調査は欧米を中心とした、年間売上高10億ドル(約1000億円)以上の大企業のCFO(Chief Financial Officer=最高財務責任者)とCIO(Chief Information Officer=最高情報責任者)144人に対して2013年実施した。これによると、約半数の企業が「ビッグデータを分析するためのリソース(設備面あるいは人材面)を拡充している」と回答した。ビッグデータの収集や分析のために、専門企業を買収する(しようとしている)と回答した企業が約40%に上ったという結果からも、大企業でもビッグデータの的確なビジネス活用が、重要な課題となっていることがわかる。

 ただし、ビッグデータを収集し分析するための受け皿の準備は整いつつあるが、それを具体的にビジネスに役立てられているかとなると、まだ試行錯誤の段階にある企業が多い。例えば「収集するデータ内容を精査している」と回答した企業は全体の3割にも満たない。さらに「ビッグデータの分析からもたらされる結果を自社の施策に的確に反映させている」と回答した企業は、全体の4分の1にしかならない。

 多くの企業では「とりあえず多くのデータを集めてはいるものの、具体的にどう活用すればよいかが見えていない」という状況で、足踏みをしているのが実情だ。

 こういった中、デジタルマーケティング方面では徐々にビッグデータ活用の方向性を見付け出しているようだ。米SENSORPROが2013年末に実施した調査では、今後重要になるとデータとして「Webサイト上の行動」、「購買やWeb閲覧の履歴」、「(特にソーシャルメディア上の発言から読み取れる)顧客の感情」、「位置情報」などを挙げている。

 これらの情報の収集や分析は今に始まったことではない。これら数々のデータが、非常に重要と言われても、デジタルマーケティングに従事してきた担当者は「何を今さら」という印象を持つだろう。