Windows XPのサポートが終了したからといって、OSの断片化が解消されるわけではない。サポート終了後もXPが稼働し続ける現場もあるし、移行する場合も移行先はWindows 7かもしれないし、Windows 8.1かもしれない。また、今週は、Windows 8.1のリフレッシュの情報も流れている。選択肢がたくさんあるのはいいことだが、そのことは同時にフラグメンテーションを促し、同じWindowsでも、別のWindowsがあちこちで稼働しているという状況を生み出す。
量販店などで売られているコンシューマー向けのパソコンについては、もはやWindows 8.1以外の選択肢はない。他のバージョンを買おうとしてもそんなものは並んでいないのだ。もちろん、ベンダーによってはWindows 7へのダウングレードサービスを提供しているところもあるが、普通は買ってきたものをそのまま使おうとするだろう。
同じWindowsだけど違うWindowsを使う
断片化で苦労するのはベンダーだけではない。たとえば、従業員が使うパソコンが同じWindowsなのに、自宅と会社ではまるで別物といったことが普通に起こっている。Windowsそのものの基本的な考え方は20年近く変わってはいないのだが、その見かけが違うだけで違和感を感じる場合もある。スタートボタンがなくなって大騒ぎになったのは、そのあたりのことも影響しているだろう。そんなに頻繁に使うわけではないのに、ないと困るわけだ。
こうした状況は、パソコンを使うユーザーのリテラシーにも影響を与えることになるだろう。ちょっと操作につまずいたとき、誰かに相談しても明確な答えが得られなかったりする。職業柄、いろんなバージョンのWindowsを使ってはきたが、今、電話でWindows Vistaの操作について聞かれたとして果たしてテキパキと応えることができるかどうか。
1~2年で大きなバージョンアップというモデルを続けていては、こうした問題を解決するのは難しいだろう。Microsoftは、XPのサポート終了によって、そこのところをどうすればいいのか、さまざまなことを学んだと思う。
Windows XP終了まであと1週。
フリーランスライター