「量子力学」の原理を応用して演算を行うコンピュータのこと。カナダのD-Wave Systemsが2011年に「量子アニーリング方式」を採用する「D-Wave One」を商用化し、2013年5月に米グーグルと米航空宇宙局(NASA)が後継機「D-Wave Two」を導入したことを発表したことから、量子コンピュータへの注目が高まっている。
量子コンピュータに関しては1990年代以来、量子ビットを組み合わせた演算回路の「量子ゲート」を構成し、この量子ゲートを使って汎用計算を行う「量子ゲート方式の量子コンピュータ」の開発が進められていた。D-Waveの量子コンピュータは、量子ゲート方式とは全く異なる方式を採用している。
具体的には、1999年に東京工業大学の西森秀稔教授と西森研究室の大学院生だった門脇正史氏が提案した「量子アニーリング」と呼ぶ計算方式を採用した。量子力学の物理現象が発生する「実験装置」を作り、そこで発生する物理現象に数学上の問題をマッピングして高速計算ができる。
新方式の量子コンピュータに関しては、国立情報学研究所(NII)山本喜久教授の研究チームも、「レーザーネットワーク方式」または「コヒーレントコンピュータ」と呼ぶマシンの開発を進めている。