2013年からスマートフォン向けゲームアプリのテレビCM競争が過熱している。2014年に入ってからはゲーム以外のアプリにも、テレビCMの活用が広がっている。テレビCM展開が加熱するなか、リスクを抑え高い効果を得るためには、何が必要なのだろうか。

テレビCMのために増資する企業も現れる

 テレビCMは、アプリやWebサイトの利用者のみが対象となるモバイル内の広告と比べ、幅広い層の人々に対して一斉にアピールできるのが特徴だ。しかもテレビとモバイルは非常に相性がよく、CMが成果に直結しやすい。このためテレビCMは、フィーチャーフォン時代からモバイルコンテンツ事業者が多用してきたプロモーション手法である。

 本連載では過去に何度か、テレビがスマートフォンアプリに与える影響の大きさについて説明している。実際、「パズル&ドラゴンズ」や「LINE」など、現在大きな存在感を示しているアプリのいくつかは、テレビCMをきっかけとしてユーザー数を急速に増やし、注目を集めることに成功している。

写真1●バンダイナムコゲームスの新CM発表会
写真1●バンダイナムコゲームスの新CM発表会
ゲームアプリのテレビCMを展開する企業は増加の一途。2014年3月19日にはバンダイナムコゲームスが、3月20日にはディー・エヌ・エーが自社ゲームアプリの新CM発表会を実施している。
[画像のクリックで拡大表示]

 こうしたことから、最近ではゲームアプリを中心として、昼夜を問わずスマートフォンアプリのCMが連日放映されるようになった。特に昨年末から今年の年明けにかけては、オフシーズン需要を狙って多数のゲームアプリベンダーがテレビCMを展開していた。その勢いはとどまるところを知らず、現在も多くのゲームアプリベンダーが競うようにして、次々と新しいテレビCMを展開している(写真1)。

 テレビCMの過熱ぶりを象徴しているのが、ミクシィの動向である。同社は2月28日、公募による新株発行での増資を実施し、63億円を調達すると発表した。その目的について同社は、「調達資金は、『モンスターストライク』にかかわる広告宣伝費に充当し、TVCMなどの広告宣伝により「モンスターストライク」の更なる利用者の拡大を図ることで、企業価値の向上に努め、再成長を加速させていく」と説明しているのだ(写真2)。

写真2●ミクシィの「モンスターストライク」
写真2●ミクシィの「モンスターストライク」
写真2●ミクシィの「モンスターストライク」
同アプリのテレビCMを積極化するために増資を実施したことで話題となった。画像はプレスリリースから引用。
[画像のクリックで拡大表示]