私は、グローバル人材マネジメントに関するコンサルティングと海外研修事業を中核事業としている会社を経営している。そのため、業務として、タイ、シンガポール、ベトナム、カンボジアなど、東南アジア各国に訪問することが多い。

 そして、東南アジア各国では、どこにいっても元気に活躍する日本人起業家や駐在員と会うことができる。彼、彼女たちと会話をしていると、まさに今、東南アジアでは、成長するマーケットの中で、日本人ビジネスパーソンが仕事を愉しく拡大しているということを実感させられる。

 一方で、日本国内に目をやると、若手もベテランも経営者も、得体の知れない閉塞感に不安を覚えて仕事をしているのではないかと思う。新たな成長余地のある東南アジア各国では、多くのビジネスパーソンが、まだまだ未開拓の領域を獲得すべく活動量を増やしている。しかし、日本国内だけで物事を考えがちな日本国内のビジネスパーソンは、一向に楽にならないビジネスに、やや疲れ気味といった印象だ。

 私は、このような日本国内で閉塞感を感じている人々、若手から経営者にいたるビジネスパーソンが、未開拓の東南アジアでチャンスをつかみ、愉しくビジネスを拡大して欲しいと願っている。本稿は、そのような日本人ビジネスパーソンを中心としつつも、学生、若手、中堅、管理職、そして経営者、それぞれ階層別に、日本人が東南アジアで何をしたらいいのか、を整理していきたい。

 第1回は東南アジアで活躍するために、ビジネスパーソンに必要なことについて、概論を話してみたい。