本連載では、ビジネス文章力を向上させたい方のために、筆者がこれまで実務の現場で部下や後輩に教えてきたケースを紹介しながら、さまざまな文章スキル不足を「病」にたとえ、それを治療するというコンセプトで、スキルアップの具体的方法について解説します。

 第1回の治療は「お断り不全症候群」の治療です。「他人の依頼が上手く断れない」患者さんが罹患していた病気とは?

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◆小原ミカさん(仮名 23歳女性)の症状◆

芦屋:次の方どうぞ。今日はどうされましたか?

小原:はい、ちょっと気分が優れないんです。いつも誰かに何かをやらされているような気がして、断りたいのに断れない……。そういうスッキリしない状態なんです。

芦屋:「断れない」ですか。それは上司や上長、関係部門の人から仕事を振られたり、あまり意味がないと思えるような仕事を押し付けられたりする、ということですか?

小原:はい。そういうことです。

芦屋:そういう場合は、はっきり断ればよいのでは?

小原:そうしたいんですけど、なかなか断れないんです。

芦屋:なぜ断れないのでしょうか?

小原:断ったら角が立ちそうじゃないですか。人間関係が悪化すると、あとが辛いし。綺麗に断ることができればよいのですけど。私は、生まれつきそういうことができない性格なのだと思います。ただ、もし良くなればと思って。そういうところを診て欲しいんです。

芦屋:なるほど、それはお辛いですね。では、早速小原さんの状況を診てみましょう。では、今日はご自身で書いた文章をお持ちですか? 当クリニックでは秘密は厳守しますので大丈夫ですよ。