本連載では、ビジネス文章力を向上させたい方のために、筆者がこれまで実務の現場で部下や後輩に教えてきたケースを紹介しながら、さまざまな文章スキル不足を「病」にたとえ、それを治療するというコンセプトで、スキルアップの具体的方法について解説します。
第1回の治療は「お断り不全症候群」の治療です。「他人の依頼が上手く断れない」患者さんが罹患していた病気とは?
芦屋:次の方どうぞ。今日はどうされましたか?
小原:はい、ちょっと気分が優れないんです。いつも誰かに何かをやらされているような気がして、断りたいのに断れない……。そういうスッキリしない状態なんです。
芦屋:「断れない」ですか。それは上司や上長、関係部門の人から仕事を振られたり、あまり意味がないと思えるような仕事を押し付けられたりする、ということですか?
小原:はい。そういうことです。
芦屋:そういう場合は、はっきり断ればよいのでは?
小原:そうしたいんですけど、なかなか断れないんです。
芦屋:なぜ断れないのでしょうか?
小原:断ったら角が立ちそうじゃないですか。人間関係が悪化すると、あとが辛いし。綺麗に断ることができればよいのですけど。私は、生まれつきそういうことができない性格なのだと思います。ただ、もし良くなればと思って。そういうところを診て欲しいんです。
芦屋:なるほど、それはお辛いですね。では、早速小原さんの状況を診てみましょう。では、今日はご自身で書いた文章をお持ちですか? 当クリニックでは秘密は厳守しますので大丈夫ですよ。